凄まじく面白かった!
ダウン症の妹が、出てくる時点で、うわもしかして、きょうだい児の話?それは正直勘弁……って少し興ざめだったんだけど、諦めずに読み進めて良かった……。上質サスペンスをお探しの方にオススメです。
ただし、読む前にこれだけは注意。
これ読むと、本気で結婚が怖くなります。マジで。
私、結婚してなくて、マジで良かったと思ったもん。
主な主人公は3人
夫:Jack
妻:Grace
Graceの妹:Millie
Jackが超イケメンの負け知らず弁護士、GraceはHarrodsのバイヤー。
といっても、Jackがだいぶ独占欲つよくて家にいてほしいということで、Graceは仕事をすでに辞めてますが。
Millieはダウン症で施設にいて、もうすぐJackとGraceと同居というタイミングで物語は始まります。
まぁだいたいね。
『BEHIND CLOSED DOORS(閉められたドアのうしろで)』というタイトルからして、予想つくじゃん?
ハイハイ、Jackが、MillieかGraceをDVして、そこからサスペンスになる展開ね、オッケーGoogle、と思って読み進めていったのよ。
が、どうも様子がおかしい。
まずJackがジョージ・クルーニーばりの超イケメン(具体的に『ジョージ・クルーニー』と書いてある)にもかかわらず40まで独身でいること自体がヘンなのに、ダウン症のMillieを家族に迎え入れることにおそろしく執着しているのがヘン。ヘンを通り越して気味が悪い。
Jackと恋に落ちたGraceが冒頭『旦那にするには大当たりを引いたぞ!ラッキィ!』と喜んでて、ほんとにバカなんかと思った。
私からすりゃ、これおかしいと思わないほうがおかしい。
えっと、差別と言われても仕方ないとは思いますが、私もダウン症ではないものの障害に近いものをもっている兄妹がいますので言わせてもらうと、障害をもっている兄妹を新たに家族に迎え入れるって並大抵の覚悟じゃつとまらない。そんな簡単に首肯できるほうがおかしい。
なのに、別に血のつながりもなんもないJackがMillieを施設から新築の自宅に嬉々として迎え入れるのを待ってるって……、どうかんがえてもおかしい。
なに、このひと、ヘン……。
この予想は果たして当たりますが、実はJackの異常性、こんなもんじゃなかった。
ストーリーが進むにつれて、次から次へとあらわる異常性癖。
久々に予想を超えるサイコパスを見た気がする。
これ以上はネタバレになるから黙るけど、ほんとうにおぞましい。
おぞましいけど、先のよめない展開がとても面白かった。あれよあれよと言う間に読み進み、休憩はさんで3日くらいで読み終えられた。
特に中盤あたりまでが一番ドキドキしたー。
最後は、あまりにもサクサクしすぎてちょっともったいなかったかな。
でも充分に面白かった。
意外なほどに殴る蹴るの身体的暴力はほとんど出てこないので、そういうの苦手なひとにもオススメですよ(その分心理的にこてんぱんにヤラれるけど)。
最後にひとつ言っていい?
Jackが『ジョージ・クルーニーと呼ばれていること』が、この小説のミソになってることは承知の上だけど、俳優のジョージ・クルーニー、地味に風評被害じゃない?(笑)